【PER・PBR・PEG】計算式は暗記不要!「家賃」と「解散価値」で直感的に理解する株式投資の指標ガイド

【PER・PBR・PEG】計算式は暗記不要!「家賃」と「解散価値」で直感的に理解する株式投資の指標ガイド

株式投資の世界に足を踏み入れると、必ず直面する「壁」があります。

それは、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)といった、アルファベットの羅列と複雑そうな計算式です。

「投資を始めたいけれど、数学のような公式を覚えるのが苦痛だ」
「四季報を見ても、どの数字が良くて、どの数字が悪いのか判断できない」
「結局、プロは何を見て『割安』と言っているの?」

もしあなたが今、このように感じて立ち止まっているなら、安心してください。
実は、稼いでいる投資家の多くは、これらの指標を「数式」として暗記しているわけではありません。

彼らは、もっと直感的で、私たちの生活に身近な「意味」として数字を捉えています。
例えば、マンション経営の利回りや、スーパーの閉店セール、あるいはあなたが普段選んでいるサービスの料金プランと同じ感覚で、株価の数字を見ているのです。

本記事では、難解な金融用語や教科書的な計算式を一切使わず、誰でもイメージできる具体例を使って株価指標の本質を解説します。

さらに、日本を代表する産業である「自動車メーカー(トヨタ、ホンダ、マツダ)」の実データを分析し、プロがどのように数字の裏側を読み解いているのか、その思考プロセスを完全ガイドします。

これを読み終える頃には、あなたは数字の羅列にアレルギーを感じるどころか、数字を見るだけで「この会社は今、バーゲンセール中だ」「この会社は見掛け倒しだ」と瞬時に見抜く「投資家の眼」を手に入れていることでしょう。

それでは、数字の裏側に隠された企業のストーリーを読み解く旅に出かけましょう。

【PER・PBR・PEG】計算式は暗記不要!株式投資の指標ガイド」というタイトル。左側にマンションと「PER(家賃回収年数)」、バーゲンセールの店と「PBR(解散価値)」のイラスト。矢印が右側の株価チャート、虫眼鏡(直感で銘柄分析!)、トヨタ・ホンダ・マツダの車、上昇するロケット(PEG(成長率))のイラストにつながっている親しみやすいインフォグラフィック。


1. 計算式は忘れろ!PER(株価収益率)の本質は「元を取るまでの年数」

投資の教科書を開くと、PERの説明として必ずこう書かれています。
「PER = 株価 ÷ 1株当たり純利益(EPS)」

この瞬間に本を閉じたくなる気持ち、痛いほどよく分かります。
今日、この瞬間からこの数式は一旦忘れてください。
暗記する必要は全くありません。

PERが表している本質、それはたった一つ。

「その会社を丸ごと買ったとして、投資した資金を利益だけで回収するのに何年かかるか」

つまり、「元を取るまでの年数」のことです。

PERを「札幌のマンション投資」でイメージする

少し想像してみてください。
あなたが北海道・札幌市内で不動産投資を始めるとします。
不動産屋さんが、あるマンション物件を持ってきました。

  • 物件の価格(株価): 8,000万円
  • 年間の家賃収入(純利益): 1,000万円

さて、この物件を8,000万円で買った場合、家賃収入だけで元を取る(投資額を回収する)には何年かかりますか?

計算するまでもありませんね。
8,000万円 ÷ 1,000万円 = 8年 です。

株式投資におけるPERも、これと全く同じ仕組みです。

  • 時価総額(会社全体の値段): 8兆円
  • 純利益(会社の年間の稼ぎ): 1兆円

この会社をあなたが8兆円で買収したとして、毎年1兆円の利益が入ってくるなら、8年で元が取れます。
つまり、この会社のPERは「8倍」となります。

「割安」か「割高」かの判断基準

では、投資家として、この「回収にかかる年数」は長い方がいいでしょうか?それとも短い方がいいでしょうか?

当然、早く元が取れる「短い方(数値が低い方)」が良い物件、良い銘柄ということになります。

  • PERが低い(例:7倍) = 7年で回収できる = 割安(お買い得)
  • PERが高い(例:30倍) = 回収に30年もかかる = 割高

一般的に、日本株全体の平均的なPERは「15倍」程度と言われています。
つまり、「投資回収に15年くらいかかるのが普通の物件(企業)」という感覚が相場です。

これを基準にして、「PER 7倍なら平均の半分くらいのスピードで元が取れるから、かなり優秀な物件だな」と判断するのです。

ただし、注意点があります。
あまりにPERが低すぎる(例えば2倍や3倍)場合は、「今は利益が出ているけれど、来年は利益が激減するだろう」と市場のみんなが予想しているために、価格が暴落している可能性もあります。

「安物買いの銭失い」にならないよう、この後紹介する他の指標と組み合わせて判断することが重要です。

[参考記事] 株式投資の基礎知識:口座開設から銘柄選びまで

2. PBR(株価純資産倍率)で見る「企業の解散価値」と「バーゲンセール」

次に理解すべき指標は、PBRです。
これも「株価 ÷ 1株当たり純資産」という教科書的な式は無視して構いません。

PBRの本質は、「会社の全財産(資産)に対して、今の売り値(株価)が高いか安いか」を示す「バーゲン度合い」です。

PBRを「閉店セール」でイメージする

ある会社が、事情があって明日解散(倒産)することになったと仮定しましょう。
その会社が持っている工場、土地、自社ビル、在庫、そして現金をすべて売り払い、銀行からの借金を全額返済した後に残ったお金。
これを「純資産(解散価値)」と呼びます。

この純資産が、計算上100億円あったとします。
この100億円は、株主であるあなたの取り分です。

ケースA:定価以上で売られている場合

この会社(中身は現金100億円の価値)の株が、株式市場で総額200億円で売られていたらどう思いますか?

「中身の価値の2倍の値段がついているじゃないか、高い!」と思いますよね。
これがPBR 2倍の状態です。
人気のある企業や、将来もっと資産が増えると期待されている企業は、このように中身以上の価格で取引されます。

ケースB:バーゲン価格で売られている場合

逆に、この会社(中身は100億円)の株が、市場で総額50億円で売られていたらどうでしょう?

「え? 50億円で会社を買って、すぐに解散させれば100億円が手に入るの? 絶対に儲かるじゃないか!」
そう思いますよね。
これがPBR 0.5倍の状態です。

PBR 1倍割れは「異常な安売り」状態

PBRの基準となる数字は「1倍」です。

  • PBR 1倍: 中身の価値と売り値が同じ(適正価格)。1万円入りの財布が1万円で売っている状態。
  • PBR 1倍未満(0.5倍など): 中身の価値より安く売られている(バーゲンセール)。1万円入りの財布が5,000円で売っている状態。

現在、日本の株式市場には、このPBRが1倍を割れている企業がたくさんあります。
理論上は「買った瞬間に儲かる」レベルの割安さですが、これには「将来性がない」「人気がない」といった理由が隠れていることもあります。

しかし、企業側も「自社の株が安すぎる」と認識しており、配当金を増やしたり、自社株買いを行ったりして、株価を適正な「1倍以上」に戻そうと努力する傾向(東証のPBR改善要請)が強まっています。

つまり、PBRが低い銘柄は、見直しが入れば大きな利益を生む「お宝」になる可能性を秘めているのです。

[関連リンク] 金融庁 NISA特設サイト(投資リスクとリターンについて)

3. 実践!自動車メーカー(トヨタ・ホンダ・マツダ)で見る指標の比較分析

ここまでの知識(PER=回収年数、PBR=バーゲン度)を使って、実際に日本の自動車メーカーを分析してみましょう。

同じ「車を作って売る会社」でも、市場からの評価は驚くほど違います。
以下の表は、各社の指標を概算で比較したものです。

企業名 PER
(回収年数)
PBR
(資産倍率)
営業利益率
(稼ぐ力)
市場の評価
トヨタ自動車 約8.3倍 約1.0倍 約10.6% 王者の風格。適正評価。
ホンダ 約7.0倍 0.55倍 約7.3% 超割安。資産価値の半値。
マツダ 3.7倍 0.40倍 5.2% 数字は激安だが稼ぐ力が弱い。

分析1:ホンダ(7267)~なぜ資産価値の半値で売られているのか?~

まず注目すべきは、ホンダのPBR 0.55倍という数字です。
これは、ホンダが保有している工場、特許技術、ブランド、現金などの資産価値の、なんと約半分の値段で会社全体が売られていることを意味します。

【投資家の思考プロセス】

  • ポジティブな見方: 明らかに売られすぎだ。PBRがせめて1倍に戻るだけでも、株価は約2倍になるポテンシャルがある。「お買い得」な水準だ。
  • ネガティブな見方: なぜここまで人気がないのか? 中国市場での販売不振や、EV(電気自動車)戦略への遅れが懸念されているからか?

しかし、ホンダには世界トップシェアの二輪車(バイク)事業という、景気に左右されにくい強力な収益源があります。さらに、航空機(ホンダジェット)という独自の技術力も持っています。

「市場が悲観しすぎている今こそがチャンス」と捉える投資家にとっては、非常に魅力的な「割安銘柄」と言えるでしょう。

分析2:トヨタ自動車(7203)~PBR1倍を維持する「信頼の証」~

トヨタのPBRはほぼ1倍、PERも8倍程度です。
多くの日本企業がPBR 1倍割れに苦しむ中、これだけの巨大企業でありながら解散価値以上の株価を維持しているのは、市場からの圧倒的な信頼の証です。

注目すべきは営業利益率 10.6%という高さです。
製造業において利益率10%超えは驚異的です。「安くはないが、安心して保有できる」のがトヨタの特徴であり、初心者にも持ちやすい銘柄と言えます。

分析3:マツダ(7261)~PER 3倍台の衝撃と「安さの罠」~

最も判断が難しいのがマツダです。
PERは3.7倍、PBRは0.4倍
数字だけ見れば「激安中の激安」です。3〜4年で元が取れる計算になります。

では、マツダは「買い」一択なのでしょうか?
ここで重要になるのが、第3の指標「営業利益率(稼ぐ力)」です。

  • トヨタ:10.6%
  • ホンダ:7.3%
  • マツダ:5.2%

マツダは、トヨタに比べて「稼ぐ効率」が半分程度しかありません。
利益率が低いということは、原材料費が少し上がったり、為替が円高に振れたりするだけで、すぐに赤字に転落してしまうリスクがあるということです。

市場の投資家たちは、そのリスク(収益基盤の弱さ)を見越して、あえて株価を安く放置しているのです。
これを投資用語で「バリュートラップ(割安の罠)」と呼びます。

単にPERが低いからといって飛びつくのではなく、「なぜ安いのか?(稼ぐ力が弱いからではないか?)」を疑う視点が、あなたの資産を守ります。

4. 成長株の評価に必須!PERが通用しない時の「PEGレシオ」

ここまでは、成熟した大人(おじさん株)である自動車メーカーの話でした。
では、これから急成長するITベンチャーなどの「子供(グロース株)」はどう評価すれば良いでしょうか?

成長企業は、将来への期待から株価が上がりやすく、PERが30倍、50倍、時には100倍になることも珍しくありません。
先ほどの「PER 15倍が目安」という常識だけで判断すると、「高すぎて買えない」となってしまいます。

そこで登場するのが、「PEGレシオ(ペグ・レシオ)」という秘密兵器です。

PEGレシオ = PER ÷ 成長率

これは、現在の割高感(PER)を、その会社の成長スピード(成長率)で割って調整する指標です。

  • PER: 現在の利益に対する株価の倍率
  • PEGレシオ: 成長性を加味した「実質的な」割安度

計算例:急成長企業A社の場合

  • PER: 50倍(一見すると超割高)
  • 利益成長率: 年率 50%(毎年利益が1.5倍になる猛烈な成長)

この場合、計算式は以下のようになります。

PEGレシオ = 50(PER) ÷ 50(成長率) = 1.0倍

一般的に、PEGレシオの判断基準は以下の通りです。

  • 1.0倍以下: 割安(成長力に対して株価が安い)
  • 2.0倍以上: 割高

つまり、PERが50倍であっても、それに見合うだけの凄まじい成長(年率50%など)をしているなら、PEGレシオは1.0倍となり、「成長力を考慮すれば適正価格、あるいは割安」と判断できるのです。

例えば、モバイルバッテリーのシェアリングサービスを展開する「インフォリッチ」のような企業は、PERが高い一方で成長率が極めて高いため、PEGレシオで見ると「0.2倍」といった驚異的な割安数値が出ることがあります。

今の利益だけでなく、「将来の伸びしろ」を見る。
これが成長株投資の極意であり、PEGレシオが「成長株の羅針盤」と呼ばれる理由です。

5. 投資とビジネスの共通点:札幌の「暮らしのサブスク」で考える銘柄選び

少し視点を変えて、株式投資をビジネスや日常生活のサービス選びに置き換えて考えてみましょう。
私は現在、札幌で「暮らしのサブスク」という定額制サービスを展開していますが、投資の銘柄選びは、この「サービスのプラン選び」に非常に似ています。

1. トヨタ・ホンダ型(割安・安定株)=「月額定額制プラン」

これは、私が提供している「暮らしのサブスク」プランのようなものです。

  • 特徴: 毎月決まった料金で、安定したサービス(家事代行や見守り)が受けられる。派手さはないが、生活の基盤となる安心感がある。
  • 投資視点: 株価(料金)は適正か少し割安。配当(サービス還元)も定期的にしっかり出る。長く安心して付き合いたい人向け。

2. 新興成長株型(グロース株)=「季節限定・スポットサービス」

これは、「札幌・四季の暮らしサポート」の雪かきや大掃除のような、特定の時期に爆発的な需要があるサービスに似ています。

  • 特徴: その瞬間の料金(株価)は高いかもしれないが、劇的な効果(株価上昇)が期待できる。
  • 投資視点: 今は割高に見えても、将来もっと価値が上がると信じて資金を投じる。リスクを取ってでも大きなリターンを狙いたい人向け。

このように、「自分が何を求めているか(安定した家賃収入のような利益か、将来の大化けか)」によって、見るべき数字と、許容できる数字が変わってくるのです。

「PER 15倍以下じゃなきゃダメだ」と決めつけるのではなく、「この会社は成長プランだから、PERは高くてもPEGレシオで見よう」といった柔軟な視点を持つことが、投資家としてのレベルアップに繋がります。

6. まとめ:3つの指標で「数字の裏側」を読み解く

今回は、難解な計算式を捨てて、PER・PBR・PEGレシオの本質的な意味を解説しました。
最後に、明日からの投資に役立つ重要ポイントをもう一度おさらいしましょう。

  1. PER(株価収益率)は「家賃回収の年数」
    数字が低いほど、早く元が取れる「割安」な物件。日本株の目安は15倍。

  2. PBR(株価純資産倍率)は「解散価値のバーゲン度」
    1倍割れは、中身(資産)より安く売られている状態。0.5倍などは「半額セール」の可能性大。

  3. 「安さ」には理由がある(マツダの例に学ぶ)
    PER/PBRだけで飛びつかず、必ず「営業利益率(稼ぐ力)」もセットで確認する。稼ぐ力が弱いから安く放置されている「罠」に注意。

  4. 成長株は「PEGレシオ」で測る
    PERが高くても、成長率が高ければ「買い」。1倍以下なら成長性に対して割安と判断できる。

次のステップ:まずは3社の数字を並べてみよう

この記事を読んだあなたなら、もう四季報や証券会社のアプリを見ても、ただの無機質な数字の羅列には見えないはずです。

「お、この会社はPERが低いな。なんでだ? あ、利益率が低いからか」
「このIT企業、PER 60倍だけど成長率がすごいからPEGは0.8倍だ。実は割安かも!」

そんな「投資家の会話」が、自分自身の頭の中でできるようになります。

【今すぐできるアクション】
まずは、あなたが普段使っている製品のメーカーや、地元の応援したい企業など、気になる3社の株価指標を検索して、ノートに横並びで書いてみてください。

比較することで初めて見えてくる「企業の本当の姿」が、必ずあります。

投資は、数字を使った「宝探し」です。
正しい地図(指標の理解)を持って、あなただけの「お宝銘柄」を見つけに行きましょう!


免責事項(Disclaimer):
本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行われますようお願いいたします。また、記事内のデータ(PER、PBRなど)は執筆時点の概算データに基づいたものであり、市場環境により変動する可能性があります。

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